東京ガス不動産プライベートリート投資法人

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気候変動への対応サステナビリティ

気候変動への対応

気候変動に対する認識

本資産運用会社では気候変動への対応が事業活動における重要課題の一つであると認識しており、気候変動がもたらす影響を適切に把握・評価し、脱炭素社会への移行ならびに異常気象や自然災害による影響といった中長期的な変化に対応できる社内体制を構築・強化することにより、運用不動産におけるレジリエンスの向上に努めます。
本投資法人ではTCFD提言に基づき、「①ガバナンス」「②戦略」「③リスク管理」「④指標と目標」のフレームワークに沿って気候変動に係る分析・検討を実施しました。これにより、気候変動がもたらすリスクと機会を適切に評価し、投資法人の経営と運用方針に反映させることにより、持続可能かつ安定的な収益を長期的に確保することを目指します。

TCFDが推奨する開示項目

TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された組織です。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表しており、金融市場の不安定化リスクを低減するため、企業等に対して中長期の気候変動関連リスク・機会に関する以下の項目の開示を推奨しています。

開示項目 開示内容
ガバナンス 気候関連リスク及び機会に係る組織のガバナンス
戦略 気候関連リスク及び機会がビジネス・戦略・財務計画へ与える実際の影響及び潜在的な影響
リスク管理 気候関連リスクを選別・管理・評価するためのプロセス
指標と目標 気候関連リスク及び機会を評価・管理する際に使用する指標と目標
  • 2023年10月、TCFDは解散し、国際会計基準(IFRS)財団が、企業の情報開示の進捗状況を監視する役割を引き継いでいます。今後、IFRSの国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)、国内の財務会計基準機構(FASF)のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が提示する新基準等を注視しつつ、引き続き気候変動関連リスクにかかる開示を行ってまいります。

ガバナンス及びリスク評価

本資産運用会社におけるサステナビリティ推進のための社内体制はこちらをご覧ください。
本資産運用会社では下記の気候関連リスクの管理プロセスを社内規程として「リスク管理規程」へ定めております。

気候関連リスクの管理プロセス
  1. ESG推進室、コンプライアンス室にて各部から集約したリスクの影響度評価を実施、マネジメント層による議論を経て決定する。
  2. ESG推進室、コンプライアンス室、関連各部は抽出されたリスクを事業運営において適切に管理・対応する。
  3. ESG推進室、コンプライアンス室はリスク・機会のモニタリング状況についてサステナビリティ推進委員会および取締役会にて定期的に報告する。

戦略

(1) シナリオ分析

気候変動が本投資法人の企業経営に及ぼすリスクと機会を特定・評価するため、国際機関等が公表している複数の気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ、4℃シナリオ)をもとに分析しました。
参照した外部シナリオは以下の通りです。

シナリオ 想定される世界観 参照資料
1.5℃
シナリオ
環境規制により脱炭素社会への移行が進んだ結果、環境配慮対応が企業にも強く求められると想定されるシナリオ
  • IPCC第6次報告書 SSP-1.9
  • IEA World Energy Outlook2003 NZE2050
4℃
シナリオ
脱炭素への対応よりも経済発展を優先した結果、気候変動に伴う災害の激甚化が顕著になると想定されるシナリオ
  • IPCC第6次報告書 SSP-8.5
  • IEA World Energy Outlook2003 STEPS

(2) リスク・機会の特定及び評価

事業活動に特に影響が大きいと考えられるリスクと機会を分析し、中期(2030年時点)および長期(2050年時点)的な財務的影響度および対応策を検討しました。
気候変動リスクは、脱炭素社会への移行が事業活動に影響を及ぼす「移行リスク」と、気候変動に伴う災害の激甚化が事業活動に影響を及ぼす「物理的リスク」に大別することができます。
1.5℃シナリオでは、気温上昇の抑制のため様々な環境規制が導入された結果、法規制や技術革新への対応等が必要となり、物理的リスクよりも移行リスクへの対応が必要となると想定しております。
また4℃シナリオでは、脱炭素への対応よりも経済発展を優先した結果、気温上昇の悪化や自然災害の頻発により、移行リスクよりも物理的リスクへの対応が必要となると想定しております。

リスク分類 種別 項目 リスクと機会に
関する説明
区分 本投資法人への財務的影響度 対応策
1.5℃シナリオ4℃シナリオ
2030年 2050年 2030年 2050年
移行リスク 政策規制 炭素排出量抑制に向けた関連規制の強化 炭素税の導入に伴う運用コスト増加 リスク
  • 再生可能エネルギーの導入・調達(太陽光発電設備の導入、電力契約の再エネ電力への切替、グリーン電力証書の購入)
  • 省エネルギー改修の検討
  • LED照明の整備
炭素税課税に伴う建築資材コストの増加(不動産売買コスト等に影響) リスク - - 補助金・優遇制度の活用
技術 再生可能エネルギー・省エネルギー技術の進化・普及 LED照明、高効率な空調設備等の設置によるエネルギーコストの減少 機会 -
評判 テナントの需要変化 保有物件が気候変動に対応できないことによる賃貸事業収益の減少 リスク - -
  • テナント満足度調査等によるニーズ把握
  • 環境認証の継続取得
  • 省エネルギー改修の検討
  • マイソク等を利用したテナントへの環境性能アピール
市場 気候変動対応を重視した投融資の進展 気候変動に対応することによる資金調達コストの減少、投資の呼び込み拡大 機会 - - -
物理リスク 急性 異常気象の激甚化 豪雨災害等による保有資産の破損費用の増加 リスク
  • ハザードマップ等を活用した災害リスクの把握
  • 予防措置の実施(防潮板・止水板の設置、止水シートの準備、重要室の防水化、警報装置設置)
  • 防災訓練の実施、防災グッズの配置
慢性 平均気温、海面の上昇・自然災害の激甚化 平均気温上昇による操業コストの増加 リスク
  • 断熱性能が高い不動産の取得
  • 高効率な空調設備等への切替
海面上昇による高潮被害への対策コストの増加 リスク
  • 防潮板の設置
  • 重要室の防水化
自然災害の激甚化による損害保険料の増加 リスク - -
  • 火災保険の定期的な見直し
  • 新規取得時に物理リスクを評価へ反映
  • 本試算は国際機関等が提示するシナリオや関連省庁、第三者が公表するデータを参考に試算したものであり、情報の正確性を保証するものではありません。

指標と目標

本投資法人における指標と目標はこちらをご覧ください。